�T　会社分割

１．会社分割とは

会社分割とは、会社（株式会社又は合同会社にかぎる）の事業の全部又は一部を他の会社に承継させる組織法上の行為です。吸収分割と新設分割があります。

２．吸収分割

（１）吸収分割とは
株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることです（会社法２条２９号）。

（２）独占禁止法の規制をうけます。
吸収分割は、吸収合併と同様に独占禁止法の規制を受けます。

（３）吸収分割手続きの概要
　 （イ）吸収分割契約書の締結
　　ａ）　吸収分割会社は、その事業に関して有する権利の義務の全部又は一部を継承する会社（吸収分割継承会社）との間で、吸収分割契約を締結しなければならない。
　　ｂ）　吸収分割契約においては、会社法７５８条１号〜８号に掲げる事項を定めなければなりません。
（ロ）吸収分割契約は、株主総会で承認します。
（ハ）吸収分割承継会社及び吸収分割会社について、所定の債権者保護を行います。
（ニ）吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継します（会社法７５９条１項）。
（ホ）吸収分割承継会社も吸収分割会社も、吸収分割による変更登記を行います。

３．新設分割

（１）新設分割とは
一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることです。（会社法２条３０号）。

（２）独占禁止法の規制をうけます。
新設分割も、吸収分割と同様に独占禁止法の規制を受けます。

（３）新設分割手続きの概要
　 （イ）新設分割計画書の作成
　　　ａ）　一又は二以上の株式会社又は合同会社は、新設分割計画を作成しなければなりません（会社法７６２条）。
　　　ｂ）　新設分割計画においては、会社法７６３条１号〜１２号に掲げる事項を定めなければなりません。
　（ロ）新設分割計画は、株主総会で承認します。
　（ハ）新設分割会社は、所定の債権者保護を行います。
　（ニ）新設分割会社は、本店所在地において設立登記することにより成立します（会社法４９条）。
　（ホ）新設分割設立株式会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継します（会社法７６４条１項）。
　（ヘ）登記
　　新設分割設立会社は、新設分割による設立の登記、新設分割会社は新設分割による変更登記をそれぞれ行います。