関連トピック
ネットワークストアの復元
バックアップをとらなければいけないのはもちろんのことですが、緊急の場合にバックアップをどう利用したらよいかを知らなければ、ほとんど意味がありません。
ネットワークストアに関わる問題が発生したら、次のようなさまざまな対策によって問題を発見し、解決することができます。
対策A−ディレクトリの再構築
必要な理由がある場合は、標準的な再構築の手順にしたがってディレクトリの再構築を行ってください。
再構築を試みる前に、必ず販売店やカスタマーサポートに問い合わせてください。再構築に失敗すると、修復不可能な損傷をネットワークストアに与える可能性があります。
対策B−オプションを利用したディレクトリの再構築
標準的な再構築がうまくいかなかった場合は、オプションを利用した再構築でディレクトリを再構築してください。
再構築を試みる前に、必ず販売店やカスタマーサポートに問い合わせてください。再構築に失敗すると、修復不可能な損傷をネットワークストアに与える可能性があります。
再構築がどれもうまくいかなかった場合には、バックアップからネットワークストアを復元する必要があります。
対策C−バックアップからの復元
再構築作業(対策A、対策B)はバックアップを使用せずに行うことができます。しかし、復元作業(対策C)を行う必要がある場合は、バックアップをとっていなければなりません。
バックアップからネットワークストアを復元するのに、絶対にFirstClassツールズのメニューから[File]>[Restore Old User Directory]を選択しないでください。この項目は、再構築を試みる場合だけに使用します。
復元作業を行うと、前回バックアップしたネットワークストアのイメージが再び作成されます。ただし、前回バックアップをとった時点からネットワークストアに対して行った変更箇所は失われてしまいます。したがって、どうしても必要な場合にだけ復元作業を行ってください。これは、バックアップが古ければ古いほど大きな問題となります。
復元を行うタイミング
ネットワークストアをバックアップから復元しなければならないのは、次のようなケースです。
・ディレクトリの再構築作業を、まず標準的な再構築方法で、次に代替インデックスを使用して行い、どちらの方法でも失敗した場合(つまり、主インデックスと代替インデックスの両方が損傷を受けた場合)。
・ハードディスクドライブが故障した場合。
Mac OS Xを利用している場合は、Macintosh用のノートンディスクユーティリティやALSOFT社のDiskWarriorなどのディスクユーティリティで修復を試みてください。
Windowsの場合は、ノートンディスクドクターやワトソン博士で修復を試みてください。
・ご利用のネットワークストアを新しいドライブに移動した場合。
バックアップからの復元方法
バックアップからネットワークストアを復元するには、次の手順にしたがってください。
1 サーバがシャットダウンされていることを確認してください。
2 バックアップが保存されたメディアから、以下のフォルダをご利用のハードディスクドライブにコピーして、損傷した既存のネットワークストアから交換してください。
・FirstClassサーバのあるフォルダ。
・主ボリューム(FirstClassサーバをインストールしたボリューム)上の、FirstClassネットワークストアを保存しているフォルダ。
・有効にした他のボリューム上の、FirstClassネットワークストアを保存しているフォルダ。
3 FirstClassスクリプトのPUTコマンドの例に、監査の開始時刻を変更するのに使用するスクリプト例が掲載されています。このスクリプトを、FNCS\SERVER\batchにコピーしてください。この作業を行わないと、監査はサーバ起動時に開始されます。
[batch]フォルダにスクリプトを保存してから、サーバを起動してください。
4 必須ではありませんが、ネットワークストアを復元した後にディレクトリの再構築を行うとよいでしょう。この作業の際、FirstClassツールズの[Rebuild User Directory]フォームで4つあるオプションのどれも選ばないでください。
再構築を試みる前に、必ず販売店やカスタマーサポートに問い合わせてください。再構築に失敗すると、修復不可能な損傷をネットワークストアに与える可能性があります。
復元するネットワークストアのオブジェクト選択
ユーザごとにネットワークストア内のオブジェクトを選んで復元作業を行うことができます。この機能を利用すると、FirstClassスクリプトのExportコマンドを使用して、監査によってシステムら削除されてしまったメール、ドキュメント、会議室、フォルダなどのアイテムを選択して復元することができます。この作業には多くの時間とリソースが必要になるため、緊急の場合に限って、少しずつ行うようにしてください。
ネットワークストアの一部だけの復元を行う際は、必ず事前にネットワークストア全体を他のマシンにバックアップしてください。
バックアップが完了したら、FirstClassスクリプトのexportコマンドを実行して、アイテムをバックアップから元のネットワークストアに1つずつ移してください。このFirstClassスクリプトでは、復元したいアイテムとその復元方法を正しく指定しなければなりません。
注意
オンラインヘルプのFirstClassスクリプトのドキュメントで、exportコマンドに関する重要な説明を行っています。必ずこの説明を読んで理解してから、選択したアイテムの復元を試みてください。
注意
[メールボックス(MailBox)]や[Application Server]フォルダなどのコンテナ全体を前と同じ名前で復元する場合は、そのコンテナをデスクトップ上にあらかじめ配置していなければなりません。まず臨時のコンテナを作成して復元された内容を保存し、そのアイテムを保存したい場所にドラッグで移動するようにすることをお奨めします。このように作業を行うと、既存のアイテムが上書きされたり、重複したりしてしまう問題を回避できます。
ネットワークストア内のオブジェクトを選択して復元するには、
1 FirstClassサーバとインターネットサービスをシャットダウンしてください。
2 使用中の[FCNS]フォルダの名前を変更してください。
3 バックアップしている[FCNS]フォルダをサーバ([FCServer]フォルダ)内の元の場所にコピーしてください。バックアップのフォルダ名がFCNSでない場合は、FCNSに名前を変更してください。
4 バックアップのFCNSで、復元するコンテナかアイテムを探してください。復元したいアイテムの名前がすでにわかっている場合、この手順は省略します。
5 バックアップのFCNSでサーバを起動し、管理者でログインして、以下のExportコマンドをBatch admin宛に送信してください。
export desktop <userid> "item" +r
このうち、
<userid>は、データを復元するユーザのユーザIDです。
"item"は、復元したいコンテナまたは個々のアイテムです。
注意
アイテム名に空白が含まれる場合は、アイテム名を二重引用符で囲んでください("")。アイテム名には、大文字と小文字の区別はありません。
+r(recursive:再帰)を付けると、すべてのアイテムを復元します。アイテムを個別に復元する場合はこの変数を使用しないでください。
注意
このスクリプトで"desktop"と<userid>を使用しない場合、サーバは対象ユーザを管理者とみなします。
6 FirstClassスクリプトからの返信メッセージをテキストファイルにコピーし、メッセージの添付ファイルをすべて保存してください。
以降の手順は、現在使用中のFCNSに対して行います。
7 サーバをシャットダウンし、バックアップのFCNSを無効な名前を変更し、使用中であったネットワークストアの名前をFCNSに戻してください。
8 先ほど保存したFirstClassスクリプトと添付ファイルをコピーし、サーバを起動してメッセージに貼り付けてください。
9 貼り付けたスクリプトで"<objdesc>" (山括弧を含む)を正しい場所のパスに変更して、メッセージを送信してください。
10 アイテムが復元されていることを確認してください。
例1
社員の荒井さん(ユーザIDはarai)が大切なメール(会計報告)を削除してしまいました。その会社の管理者は、前述の作業手順にしたがってそのメッセージを社員のメールボックス内に復元することができました。管理者は、手順の5と同じ構文を用いてFirstClassスクリプト作成し、荒井さんのメールボックス内にある「会計報告」というメールをエクスポートしました。
Export desktop arai "Mailbox:会計報告"
管理者は、FirstClassから返信スクリプトを受信しました。
次に、管理者はそのスクリプトをコピーして稼働中のサーバでメッセージに貼り付け、<objdesc>の行を次のように変更しました。
SetBase desktop arai mailbox
この作業は、送信メールに記述するFirstClassスクリプトの中で、荒井さんのデスクトップを正しいパスを指定し、「会計報告」のメールが荒井さんのメールボックスに復元されるようにするために行います。管理者がこのメッセージをBatch admin宛に送信すると、荒井さんのメールボックスに大切なメールが復元されました。
例2
ある学校に勤務する天野(ユーザIDはamano)さんが、その学校を辞めることになりました。彼女は、自分の[コンタクト(Contacts)]フォルダに登録しているアドレスをすべて、後任者の大田さん(ユーザIDはota)に引き継ぎたいと考えています。学校の管理者は、前述の作業手順にしたがって天野さんの[コンタクト(Contacts)]フォルダを丸ごと大田さんにエクスポートすることができました。管理者は、手順の5と同じ構文を用いてFirstClassスクリプトを作成し、天野さんのデスクトップ上にある[コンタクト(Contacts)]フォルダをエクスポートしました。
Export desktop amano "Contacts" +r
管理者は、FirstClassから返信スクリプトを受信しました。
次に、管理者はそのスクリプトをコピーして稼働中のサーバでメッセージに貼り付け、<objdesc>の行を次のように変更しました。
SetBase desktop ota "Contacts2"
この作業は、送信メールに記述するFirstClassスクリプトの中で、天野さんの[コンタクト(Contacts)]フォルダのコピー先である荒井さんのデスクトップの正しいパスを指定するために行います。次に、管理者はそのメッセージをBatch admin宛に送信しました。このスクリプトを実行するには、大田さんのデスクトップに「Contacts2」というコンテナを必ず事前に作成しておいてください。
この結果、天野さんの[コンタクト(Contacts)]フォルダとその中にあるすべての内容が、完全に大田さんにコピーされました。この作業で、臨時のコンテナを元のコンテナと異なる名前にしたことにご注意ください。異なる名前にしたおかげで、大田さんの[コンタクト(Contacts)]フォルダはまったく影響を受けずに済むわけです。これから、大田さんは、時間に余裕があるときに、この臨時コンテナからアドレスを取り出して自分の[コンタクト(Contacts)]フォルダに移すことができます。
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