MDMファイル(モデム設定ファイル)
MDMファイルは、特定のモデムの情報を保存するテキストファイルです。
FirstClassには、多くのモデム(MDF)ファイルがあらかじめ用意されています。MDMファイルは、FCNS\SERVER\MODEMSフォルダ(Windows)、またはfcns\Server\modemsフォルダ(Mac OS X)に保存されています。
MDMファイルのパラメータの大半は、FirstClassツールズで設定することができます。FirstClassツールズで指定した設定内容は、MDMファイルで指定されている内容より優先して適用されます。
FirstClassツールズで設定できないパラメータの設定は、MDMファイルをテキストエディタで直接編集することで可能です。
MDMファイルを変更する理由で最も多いのは、ロングタイムアウトの値(MLTO)を増やすためです。(太平洋をまたぐ、非常に離れた地点どうしで電話回線による通信を行うような場合に)低速の通信回線を使用するには、この作業が必要になる可能性があります。他のパラメータは、おそらく変更する必要がないでしょう。
使用中のモデムがModem.FCP(Windows)のモデム一覧またはFirstClassツールズで表示されるモデム一覧(Mac OS X)にない場合は、MDMファイルの作成が必要になることがあります。
どちらのプラットフォームでご利用の場合でも、FirstClass.comの[Conferences]>[Software]>[Libraries]>[Modem Settings]会議室をご覧いただくとよいでしょう。この会議室には数多くのMDMファイルがアップされていますので、ご自分で新しいファイルを作成する手間を省くことができます。
MDMファイルの編集
構文ルール
FirstClassでは、文字区切り記号に一重引用符(')と二重引用符(")の両方を使用することができます。あらかじめ用意されているMDMファイルでは、一重引用符を使用しています。これは、AT&T社製のモデムの中に二重引用符をコマンドで使用している機種があるためです。
MDMファイルでは、次の特殊文字を使用します。
・\r (リターン)
・\n (改行)
MDMファイルの文字列はエスケープ文字に円マーク(\)を使用しています。したがって、円マークを文字列として表したい場合は、円マークを2つ使用してください。例えば、\\Q3という文字列は、\Q3という文字列としてモデムに送信されます。
MDMファイルのパラメータ
前項で説明した構文ルールに従って、MDMファイルでは以下のパラメータを使用してください。
MNAME |
このモデムの完全な名前です。DOSファイル名のように一部が省略された形ではありません。このパラメータは、Windows版クライアント用のMDMファイルがDOSファイル名を持っているために必要となるもので、[MODEM.FCP]フォームにこのモデム名が表示されます。 |
MDMATT |
警告文字で、通常は+++です。この変数によって、(警告文字列の代替フォーマットである)TIES文字列が使用できるようになります。ただし、この文字列を使用しているモデムはほとんどありません。 |
MDMDIAL |
発信文字で、通常はATD%s\rです。クライアントがサーバへ発信する時にこの文字列を使用します。%sが設定ファイルか[ゲートウェイの設定]フォーム上で電話番号に置き換えられます。トーン変換あるいはパルス変換パラメータとともに使用されます。 |
MDMTONEとMDMPULSE |
トーン信号およびパルス信号の変換を行います。モデムの中には、これらのパラメータに対応していない機種もあります。対応していないモデムでは、パラメータは空白にしてください。[Modem.FCP]フォームと[Session Information]フォームの[Phone]フィールドが、これらのパラメータに対応しています。 |
MDMHUP |
切断文字で、通常はATH\rです。 |
MDMANS |
応答文字で、通常はATA\rです。 |
MDMRESET |
モデムのリセット文字です。通常のリセット文字は、AT&F\rとATZ\rです。AT&F\rは、ハードウェアをリセットして工場出荷時設定に戻します。ATZ\rは、AT&Wコマンドで保存した設定に戻します。 |
MDMINIT |
初期化文字(INIT)です。この文字列は、半角で40字まで記述することができます。INIT文字列を使用すると、フロー制御、データ圧縮、エラー修正、DTR切断、キャリア検知などモデムの持つ拡張機能が無効になります。そのため、[Modem.FCP]フォームと[Session Information]フォーム上でのモデム設定によってこれらの機能を制御できるようになります。 ATZ\rをリセット文字として使用する場合は、少なくとも以下のコマンドを記述してください。このコマンドはFirstClass側で必要となります。
ATS0=0V1E0
このコマンドでは、 ・S0=0は、自動応答を無効にします。 ・V1は、数字ではなく文字の結果を返します。 ・E0は、エコーを無効にします。 (Hayes SupraやCardinalなどの)Rockwell社製ハードウェアがベースのモデムの大半で、以下のINIT文字列を使用することができます。
ATS0=0V1E0X4W1&K0&Q0N0M0&C0&D0\r
この文字列には、標準設定に加えて以下のオプションコマンドを記述します。 ・X4は、結果コードがユーザに返されるようにします。 ・W1は、拡張機能が結果コードに含まれるようにします。
これにより、クライアントとサーバの接続進行状況を表す画面で、接続の種類が詳細に表示されるようになります。
・%K0は、フロー制御を無効にします。 ・&Q0は、エラー修正と圧縮を無効にします。 ・N0は、速度ネゴシエーション機能を無効にします。 ・M0は、モデムのスピーカを無効にします。 ・%C0は、キャリア検知を無効にします。 ・%D0は、DTR切断を無効にします。
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MDMOPT |
発信文字と類似のオプション文字です。通常はAT%S\rです。%sには以下のオプションコマンドを代入します。 |
MDMHWHS |
フロー制御、エラー修正、およびデータ圧縮を有効にします。Hayes ULTRAでは&K3&Q5N1となります。これは、ハードウェアのハンドシェイク、圧縮、エラー修正(自動適正モード)を有効にし、対応可能な最高速度で開始後、必要に応じて速度を下げます。[Modem.FCP]フォームと[Session Information]フォームの[H/W handshake]フィールドが、このパラメータに対応しています。 |
MDMSPKR |
発信時とネゴシエーション時にモデムのスピーカを有効にします。[Modem.FCP]フォームの[Speaker]フィールドが、このパラメータに対応しています。 |
MDMCD |
キャリア検知を有効にします。[Modem.FCP]フォームと[Session Information]フォームの[Carrier detect]フィールドが、このパラメータに対応しています。 |
MDMDTR |
DTR切断を有効にします。[Modem.FCP]フォームと[Session Information]フォームの[hangup]フィールドが、このパラメータに対応しています。 |
これらのコマンドがモデムに送信されるのは、モデム接続ファイルで設定した場合だけです。 |
MBAUD |
ハードウェアのハンドシェイクが無効な場合に適用される速度です。通常、高速モデムではこのパラメータを9600bpsに設定します。低速モデムでは、そのモデムが対応している最高速度に設定するのが普通です。[Modem.FCP]フォームと[Session Information]フォームの[Baud rate]フィールドが、このパラメータに対応しています。 |
MHWHSBAUD |
ハードウェアのハンドシェイクが有効な場合に適用される速度です。この速度は、通常、MBAUDで設定した速度の2倍から4倍に設定します。このパラメータの変更は、MDMファイルではなくモデムの接続ファイルで行ってください。
ボーレート値を見つけるには、
1 Windowsに付属の「ターミナル」など標準のターミナルエミュレータを使用して、ボーレートを2400に設定してください。 2 ATと入力して、EnterキーまたはReturnキーを押してください。 モデムからOKと応答されます。
3 ボーレートを9600に変更して、ATコマンドを再度入力してください。 4 ボーレートを19200および56000にして、モデムが応答しなくなるまでこの作業を繰り返してください。
ボーレートが14400のモデムでは、速度が56000くらいになると応答しなくなります。あらかじめ用意されたMDMファイルの大半は、19200を使用しています。これは、ほとんどのシリアルポートで19200が限界値となっているためです。 |
MAUTOSPEED |
自動速度文字です。この文字列は、ハードウェアのハンドシェイク接続時に自動速度機能を使用するかどうかを指定します。[Session Information]フォームの[Auto speed]フィールドが、このパラメータに対応しています。 |
MLTO |
ロングタイムアウト文字です。この文字列は、Dialコマンドを送信してからCONNECT信号が来るまで待機する時間を(1秒を60として)指定します。(非常に距離が離れた地点に発信するなど)接続に時間がかかる時は、このロングタイムアウトの時間を長くした方がよい場合があります。 |
MSTO |
ショートタイムアウト文字です。この文字列は、ほとんどのコマンドを送信してからOKが来るまで待機する時間を(1秒を60として)指定します。 |
MGTO |
監視タイマー文字です。この文字列は、Attentionコマンドを送信してからさらにコマンドを送信するまで待機する時間を(1秒を60として)指定します。 |
MDELAY |
モデムの中には、特に内蔵モデムや共有モデムの場合、ウェイクアップまで時間がかかる機種があります。この文字列は、モデムがウェイクアップしてからコマンドを送信するまで待機する時間を(1秒を60として)指定します。 |
MCOMMENTS |
モデムの概要を記述します。 |
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