関連トピック
緊急の場合のFirstClassサーバのバックアップ作成、再構築、復元方法を知ることは、管理者に与えられている最も大きな責任です。
緊急事態への準備を行う理由
FirstClassは管理が簡単で信頼性が高いため、緊急事態が起こることはめったにありません。しかし、緊急事態が発生したときのことを考え、その事態に対処するための準備をしておいてください。
アクシデントはどうしても起こるものです。停電やコンピュータの故障が起こると、ご利用のFirstClassサーバのシステム全体が損傷を受ける可能性があります。そうなると、ユーザは大切なメッセージやファイルを失い、管理者はFirstClassシステム全体を再インストールし、再設定し、再構築しなければならない状況に直面することになります。
このような煩雑な作業をしなくても済むように、ご利用のシステムのバックアップを定期的にとることをお奨めします。また、FirstClassのソフトウェアやご利用のコンピュータのハードウェアをアップグレードする場合は、あからじめサーバのバックアップをとっておくとよいでしょう。
バックアップを行う理由
直近のバックアップが必要になるケースがいくつか想定されます。そのため、ご利用のシステムのバックアップは、必ず定期的にとるようにしてください。
・セキュリティ
バックアップをとる最も一般的な理由は、自然災害、システムの故障、ソフトのバグなどからシステムを守るためです。例えば、ハードディスクが壊れてしまったのに、ご利用のFirstClassサーバのバックアップを他のメディアに保存していなかったら、システム上の情報はすべて失われることになります。また、ご利用のサーバの設置場所で災害が起こる可能性も考えられます。火事、洪水、雷雨、事故などによって、ご利用のシステムが部分的にまたは完全に破壊されてしまう可能性があります。加えて、アプリケーションとシステムの両方にバグがあると、故障が発生し、ご利用のシステムが使用できなくなるかもしれません。しかし、どの場合でも、事前に計画してバックアップをとっておけば、ご利用のシステムをできる限り早く復旧できるようになります
・ハードウェアまはたソフトウェアの更新
FirstClassや他のシステムのソフトウェアを更新したり、CPUを取り替えたり、ハードウェアを追加したりする場合は、作業中に問題が発生する事態に備えて、あらかじめ完全なバックアップをとっておいてください。
・FirstClassシステムの大規模な変更
多数のユーザやゲートウェイの追加、FirstClassスクリプトによる大量、または複雑な処理など、ご利用のFirstClassシステムに大きな変更を加える場合は、あらかじめご利用のシステムの完全なバックアップをとり、そのバックアップを手元に用意しておいてください。処理中にエラーが起こって取り消すことが難しい場合に、エラーが起こる前の状態にシステムを復元して、処理を再開することができます。
バックアップのスケジュール
バックアップのスケジュールは、データの重要度、データ消失の可能性、バックアップ作成の難しさによって決まります。例えば、ある会社でのバックアップ作業のスケジュールをみてみましょう。その会社の経営者は、2日以上前のFirstClassデータが失われるようなことは絶対に避けたいと考えました。そこで、次のようなバックアップ作業手順に決定しました。
・FirstClassシステムのバックアップを毎晩テープにとる。
・バックアップは2週間保管する。
・毎週月曜日の朝に、システムから離れた所にある保存場所に日曜日時点のバックアップを移して保管する
・ここ2週間に作成された他の曜日のバックアップはすべて、システムと同じ場所にある耐火金庫に保管する。
バックアップ用のメディアの選択
バックアップは、DATテープなど、FirstClassシステムが保存されているのとは異なるメディアに保存することをお奨めします。ご利用のシステムと同じドライブにバックアップを保存して、そのドライブが損傷を受けると、FirstClassシステムのバックアップも利用できなくなってしまいます。
サーバのバックアップ
サーバのインストールと設定が完了したら、[FCNS]フォルダと[FCServer]フォルダ(Windows)または、[fcns]フォルダと[FirstClass Server]フォルダ(Mac OS X)のバックアップをとってください。
マルチボリュームを有効にしている場合は、各ボリューム上のFirstClassネットワークストアか[FCNS]フォルダのバックアップもとってください。
ミラーリングしたネットワークストアをバックアップする場合は、その間だけミラーリングを中断する必要があります。バックアップが完了したらミラーリングを再開してください。
稼働中のサーバのバックアップは絶対にとらないでください。サーバをバックアップする場合は、まずサーバをシャットダウンしてください。
バックアップは定期的にとるようにして、ハードウェアの故障などでデータが失われないようにしてください。
ネットワークストアのバックアップ
ネットワークストアのバックアップをとる場合は、ネットワークストアに含まれるFirstClassの全データの複製を作成します。このデータには、メッセージ、FirstClassディレクトリ、システム設定ファイルが含まれます。
定期的にバックアップをとるよう設定して、安全な場所(理想的には、システムから離れた場所)にバックアップを保管してください。サードパーティ製のバックアップユーティリティを使用して、FirstClassサーバのバックアップをとることができます。
次のフォルダは必ずバックアップをとってください。
・主ボリューム(FirstClassサーバをインストールしたボリューム)上の、FirstClassネットワークストアを保存しているフォルダ。
・有効にした他のボリューム上の、FirstClassネットワークストアを保存しているフォルダ。
・Inetsvc.fcファイルや[CONFIG]フォルダ、[CGI-BIN]フォルダなど、独自に変更を加えたその他のファイルやフォルダ。
同時にすべてのボリュームのバックアップをとってください。同時にとらないと、一部のボリュームで不整合が起こり、その結果、復旧作業に使用できなくなってしまいます。
稼働中のネットワークストアのバックアップは絶対にとらないでください。ミラーリングを中断してミラーリング先ボリュームのバックアップをとるか、サーバをシャットダウンしてからバックアップを行ってください。
バックアップの自動化
ミラーリング機能、バックアップ用ソフトウェア、スクリプト、ご利用のOSで使用できる適切なコマンドを組み合わせれば、サーバがWindowsのサービスとして実行されているかに関係なく、バックアップ作業を自動化することができます。
Windowsでのバックアップの自動化
Windowsのサービスとして実行しているかどうかにかかわらず、FCUtilユーティリティを使用してバックアップを自動化することができます。必要となるコマンドは、FCUTIL PAUSEとFCUTIL CONTINUEです。
このFCUtilユーティリティは、FirstClassサーバの実行ファイルと同じフォルダにインストールされています。FCUtilは多くのコマンドに対応しており、さまざまな作業を自動で行うことができます。コマンドプロンプトを開いて、パスをFCUtil.exeがあるフォルダに変更し、「FCUTIL」と入力してください。
Mac OS Xでのバックアップの自動化
Fcsctlユーティリティを使用して、バックアップの自動化を行うことができます。必要となるコマンドは、fcstcl pauseとfcsctl continueです。
この2つのコマンドを実行するとターミナルシェルが開き、FirstClassサーバがあるディレクトリ内で作業を行うことができます。
スナップショットのための一時停止と再開
スナップショットの一時停止と再開機能とは、FirstClassサーバを一貫した状態で固定し、ネットワークストアのスナップショットをとってから、またサーバを通常の動作モードに戻すためのものです。スナップショットのための一時停止が行われると、手動で再開するか、設定した時間が過ぎるまで、サーバは対応するスナップショットの再開要求以外の操作を受け付けなくなります。
多くのFirstClassサーバでは、FirstClassの内容を保存するのに外部デバイスを使用しています。NetApp社製品などの外部デバイスでは、スナップショットと呼ばれる機能を提供してます。CompaqやEMCなど他のバックアップ用製品でも、類似の機能を提供して、大容量のデータをすばやくバックアップすることができます。製品によっては、この機能は「split mirror(分割ミラー)」という名で知られています。ただし、この機能はNetApp社のスナップショット機能で書き込み時コピーを行う方法に比べて、バックアップの作成に多少時間がかかることがあります。また、BackupExecの「詳細オープンファイルオプション」など、ソフトウェアによる「簡易バックアップ」機能を利用する方法もあります。
FirstClassにとって、スナップショットは、あとで復旧作業を行うために現在のファイルシステムの状態をフラグ処理する作業を、ほぼ瞬間的に行うことができなければなりません(この仕組みは、通常ネットワークファイルサーバに付属しています)。これは、NetApp社のスナップショットサービスを必ず使用しなければいけないという意味ではありませんが、従来のバックアップ用製品は、バックアップの複製処理に時間がかかるため、FirstClassとの利用には適していません。FirstClassにとって唯一の要件は、このスナップショット処理にかかる時間が1分未満であることです(デフォルトは60秒)。スナップショットのための一時停止が行われている間、サーバ処理は事実上遮断され、再開されるまですべての要求が延期されるため、一時停止の時間は短くなければなりません。時間が短ければ、スナップショットのための一時停止を要求し、スナップショッ
トがすばやく取得された後にすぐ再開を要求することができます。これにより、サーバを通常どおりに稼働させつつ、平行してバックアップ処理を開始することができます。したがって、いつものようにファイルを開いたりミラーリングを行ったりしながら、FirstClassサーバのバックアップをオンラインでとることが可能になります。
スナップショットのための一時停止と再開機能は、サーバコンソールのメニューか、FirstClassスクリプトによって開始することができます。
サーバコンソールから行う方法
この方法では、サーバコンソールの[Backups]>[Snapshot Hold]を選択します。この選択を行うと、スナップショットのための一時停止が要求され、スナップショットのバックアップ取得が行われます。数秒後に、[Backups]>[Snapshot Release]を選択して、再開を要求してください。サーバコンソールには次のように表示されます。
再開を要求しなかった場合、サーバは一時停止要求を受け付けてから60秒後に通常の動作を自動的に再開します。
FirstClassスクリプトによる方法
2番目の方法では、FirstClassのFPPプロトコルで、FirstClassスクリプトの新しいコマンドであるHOLDとRELEASEを使用します。
HOLDコマンドを要求するには、次の構文を使用してください。
HOLD OptionalHoldTime
OptionalHoldTimeには、サーバを自動的に再開するまでの合計時間を秒単位で記述します。時間をしていない場合は、デフォルトの時間が使用されます。
再開を要求するには、次の構文を使用してください。
RELEASE
下の画像は、一時停止をデフォルトの60秒間要求した場合と、30秒間要求した場合を表しています。
サーバコンソールには、このFPP要求が出力されます。
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